Research

研究テーマの一例

 ダイニン分子の運動性

  ダイニン分子を結合させたビーズを,レーザートラップによって捉え,変位をナノメートルの精度で測定します。細胞運動に関わるモーター分子として、ミオシン、キネシン、ダイニンがありますが、ダイニンは分子内に複数のATP結合部位を持ち、構造も巨大かつ複雑で、その分子機構は明らかになっていません。小胞輸送や細胞分裂で働く細胞質ダイニンは、1分子でも微小管上を長距離にわたって移動することができます。実際にどのような歩き方をしているかを見るために、レーザー光を利用した光ピンセット法や蛍光標識により、ダイニン1分子の運動を空間的・時間的に高い分解能で計測しています。また、繊毛には10種類以上のダイニンが存在し、これら軸糸のダイニンは、微小管を回転させたり、振動させたり、ATPやADPの濃度を感知して挙動を変化させるなど、多様な運動を示します。これらの性質はダイニンがもつ共通の性質が際立った形で現れているものととらえ、その運動性を詳しく調べています。

 ダイニン分子と微小管の相互作用

  ダイニン分子は、モータードメインから突き出したストークと呼ばれる構造の先端で微小管と結合します。クロスブリッジサイクルの中で、このストークの微小管との結合・解離がATP加水分解とどのようにカップルしているのかを探るために、ストークと微小管との相互作用の解析や構造解析を行っています。
 

 ダイニン分子の発現

  ダイニンはそのモータードメインの分子量が380 kとキネシンのモータードメインの約10倍の大きさで、大腸菌で発現させることはできません。ダイニンの構造や機能を調べていくには、リコンビナントのダイニンモータードメインを得ることが必須であると考え、真核細胞内でダイニンモータードメインを発現させることを目指しています。

 細胞分裂に働くモータータンパク質

  細胞分裂は核分裂と細胞質分裂からなり、多数の種類のモータータンパク質が関与していますが、一過性の現象であるためにモータータンパク質を分裂中の細胞から単離・精製することは困難です。紡錘体の機能に関連するキネシンスーパーファミリーのモータータンパク質をその遺伝子を発現させて作りだし、運動機能を中心としてその性質をin vitro で調べています。

 細胞分裂面の決定機構

  細胞分裂の核分裂と細胞質分裂のあいだには、時間的・空間的に密接な連携があると考えられます。分裂酵母の分裂異常のミュータントを解析して、細胞分裂面の決定に関わるタンパク質を同定とそのメカニズムの解明を行っています。
 

 神経の発達に関わる因子とモータータンパク質

  ヒトの大脳発達に関わる病気(滑脳症)の遺伝子産物が、ダイニンの運動活性を直接制御することが明らかになりました。この制御機構を解明し、神経発達におけるモータータンパク質の役割を明らかにしようとしています。

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